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アントニオ・ロペス展

現在、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで「現代スペイン・リアリズムの巨匠 アントニオ・ロペス展」が開催されている。種村は1977年に取材でドイツのヴォルプスヴェーデを訪れた際、ハンブルクのブロックシュテット画廊でアントニオ・ロペスの作品を見た。そのことはのちに「みづゑ」1985年冬号に「スペインのレアリストたち――マドリードの四人の画家――」(単行本未収録)で書いている。

スペインの黄金時代、二〇年代のレアリスムの伝統を紹介したうえで、アントニオ・ロペスたちのリアリズムは「神秘や幻想をことごとく剿滅して、仮借のない現実をあらわにしたとき、そこにもなお「魔術と秘密」がほのめく」といい、二つの作品(残念ながら今回の展覧会には来ていない)をとりあげている。

Atocha(「アトーチャ通り」)
http://www.guggenheim-bilbao.es/obras/atocha/

これほど慰めのない、生物学的事実をそのまま投げ出したような性交というものがあろうか。


Woman in the bathtub(「浴槽の娘」)
http://en.wikipedia.org/wiki/File:Lbathtub.jpg

浴槽とそのなかの人間がほとんど互いにしりぞけ合っているように見える。同じモチーフで描いたボナールの浴みする女が、水と浴みするものの一体感を何のためらいもなく物語っているのにひきかえ、アントニオ・ロペス・ガルシアの浴槽の女は死後硬直もさながらに強張って浴槽を拒み拒まれている。


また、アントニオ・ロペスが出演しているビクトル・エリセの映画「マルメロの陽光」の映画評も書いている(「読売新聞」1993年4月12日夕刊7面、単行本未収録)。「一人の画家の制作過程を撮ったドキュメンタリーのふりをした、一種の宮廷物語」であり、「ベラスケスの「ラス・メニナス」の構図」であると指摘している。