諏訪哲史「『怪奇・幻想・綺想文学集 種村季弘翻訳集成』書評」

4月13日に書いた情報について、図書館で調べてきた。

4月8日の新潟日報福井新聞神戸新聞、山陰中央新聞、愛媛新聞、4月22日の山形新聞に『怪奇・幻想・綺想文学集 種村季弘翻訳集成』(国書刊行会)の書評が掲載されている(ほかにもあるかもしれない)。筆者は諏訪哲史

21世紀の僕らのヤワな「文学のタガ」を外すために地中深く眠り続け、いま忘却から呼び覚まされた、規格外の剣呑な「不発弾」だ。


すべての不発弾は火を待望する! 何らかの僥倖で弾を手にした以上、真の読書家なら迷わず手中に点火し、あらかじめ充填された言葉の火薬量のありったけをその場に炸裂させ、閃光を目撃するまでは気が済まない。不在の怪人、種村季弘の最後の訳書が気詰まりな現代文学を木っ端みじんにするさまは爽快だろう。


まだパニッツァの翻訳で活字になっていないものがある(平凡社から刊行子予定という話を以前聞いたのだがどうなったのだろうか)はずなので、本書が「最後の訳書」にはならないと思うが、種村の仕事と結びつけながら独特の表現で本書を評していて見事だ。